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北海道大学 大学文書館の見学

2010年8月11日 (水) 15:00 ~17:00
Ⅰ.施設見学前のレクチャー   北大附属図書館(本館)4F 会議室 にて
挨拶 :逸見勝亮 館長(理事・副学長) 講師 : 山本美穂子氏(同館技術専門職員)   
配布資料:1.同館の概要・同大学の歴史、沿革資料についてなど A2用紙2枚
       2.リーフレット5種類 (A4両面カラー印刷、各1枚を2つ折) -内容略-

・同館にはスタッフとして兼務教員が5名いらっしゃいます。文学、教育、工学、理学、
北方生物圏フィールド科学の研究分野の先生方です。 図書館と異なる特徴かと思い
ました。いずれにしても、実質的に館員・研究員の3人で運営と伺い感心しました。
→ http://www.hokudai.ac.jp/bunsyo/staff.html

学生の技術補助員(アルバイト)は、日本語の崩し字、外国語の筆記体を解読できる
ことが必要だそうです。 展示物の一部が回覧され、間近に拝見できました。 特に
興味深かったのは次の2点です。

・明治39年 (1906年) の夏季修学旅行報告 (綴り)
和紙に墨で書かれており、罫線のない無地の用紙も多く、筆字による英語や表など
丹念な記述を見て、当時の学生の学問に対する情熱が偲ばれ感銘を受けました。

・写真アルバム : 保存状態が良いとはいえ、変色せずくっきりとした画像は驚きです。

現代から見てローテクの部類になってしまった文具や機器が歳月に耐え、当時を
伝えてくれています。場合によっては劣化するけれど、基本的にはローテクの方が
時間に対して脆くはないということ、普遍性を感じました。最先端の保存機器は常に
技術革新され続け、が付きまとっているようです。

資料を評価し、取捨選択の判断をするのは人間であり、資料を過去の遺物ではなく、
人間の営みや息吹を伝える "未来への財産" に変えるのが人間の叡智であると、
考えさせられる良い機会になりました。

Ⅱ.展示見学 (同館助教の井上高聡氏が解説と案内に同席・同行)
・北大応用菌学教室を創設なさった半沢洵教授の納豆に関する展示に目を惹かれ
ました。直筆原稿のほか、ご自身でデザインされた 「半澤式納豆」 の包装紙は、
秋田県、福島県など意匠の違いが面白く、そういえばデパートの物産展でレトロな
パッケージと思った製品のルーツでした。

食卓の小さな巨人 微生物」  高尾彰一/ 著、 北海道新聞社、1997年
に半沢教授のご業績が書かれています。

Ⅲ. 施設見学
サスティナビリティ学の事務局と同じ建物で、過去から未来へと持続していく証しの
ひとつのように思え、嬉しいです。 カビや埃が集積している資料も多いようで、マスクを
なさっても、担当者の健康が気になりました。

先の札幌市の施設と合わせて、ご準備、ご案内ほか、いろいろお取り計らい下さった
担当者の方々に感謝いたします。今後、役割と意義の重要性が、予算や人員にも
反映されますよう願われます。

# by livres6 | 2010-09-13 20:31 | 学び (課程関連)  

札幌市文化資料室

8月9日(月) 15:00 ~17:00  ある課程の勉強で見学にまいりました。 札幌市の
(旧)豊水小学校を活用している施設です。職員の方々が講義下さいました。

1.札幌市文化資料室の活動状況について     講師 : 同資料室 竹内啓氏
〔資料〕 ① 施設の主旨・役割、統計データ2種、情報発信の状況などのまとめ
② 職員の新人研修のためのテキスト 「文書事務」 16頁

①札幌の歴史・文化に関する資料収集、学習・研究に利活用、後世に伝えるため保存
資料所蔵状況 : 約13万4千点のうち、写真が最も多く、約7万1千点 (7月末現在)
文化資料室ニュース 第10号によると、本年1月に閉鎖された 「札幌市写真ライブラリー」
より約3万点を移管。8/20一部をウェブ公開の予定。次に多いのが刊行物・文書

・郷土史相談室 (目的別相談件数) : 2006年~2010年度の推移、 学習用が大部分を
占める。09年度まで減少傾向だったが、今年度は7月末で総数がすでに昨年の68%

・情報発信の現況 : 「札幌市文化資料室研究紀要」 09年創刊、年1回刊行、現在第2号
「文化資料室ニュース」 2006年より年3回発行、号毎に草色や桃色の台紙、現在11号
いずれもHPにPDFで公開されています。

② 文書の収受・作成から廃棄までコンパクトにまとめられている。環境と市民自治」が
起案文書の要チェック事項らしく、道外の同規模の自治体はどのようか知りたくなりました。
  
2.施設の見学
大通り公園の西端の札幌市資料館は歴史的建造物で、美術館や教育文化会館に近く、
よく知られています。観光客も立ち寄る可能性が大きく、一方、文化資料室は旧小学校の
建物を使っているため設備や構造に制約がありそうです。職員の方々はいろいろご苦労
なさっているのではと思いました。 でも薄野という大繁華街に近いわりに、辺りは静かな
たたずまいです。今後は学びプラス楽しい雰囲気が増して、幅広い年代親しまれ、一層
魅力的なスポットになるように願われます。

展示のなかで特に印象的だったのは、1931年の下水道関係の公文書でした。
綴じられた紙は黄ばみ、ごわごわ煤けたような外観で、悲しみのような重さを感じました。
別の棚には佐賀県史や本州の市史が並んでいました。公文書は、当時の生活に思いを
はせる手がかりを客観的に伝えてくれると気づきました。

パネル展示の 「雪と生きる」 は、利雪 ・ 楽雪 ・ 克雪 ・ 耐雪という見出しで分かりやすく
解説されていました。非常に重要な水害と消防も取りあげられており、今後は地震や
活断層などについても、特に子どもたちに関心を喚起してほしいです。

3.札幌市における文書管理の現状と公文書館開設準備について
講師 : 〃 武田雅史氏   ①札幌市公文書管理規則(抄)
http://www.city.sapporo.jp/reiki/reiki_honbun/aa00201361.html
②公文書等の管理に関する法律(抄)
http://law.e-gov.go.jp/announce/H21HO066.html
③公文書の適正な管理に関して必要な施策
・札幌市公文書管理条例の制定(2012年度を想定)
・札幌市公文書館基本構想 http://www.city.sapporo.jp/somu/kobunsyokan/
④文化資料室における歴史公文書遺憾・選別状況
 ※一次選別は神奈川県立公文書館の基準をベースに一部追加

4.文化資料室の講座・セミナー               講師 : 〃 榎本洋介氏
①小学生・中学生向け講座 : ジュニアウィークエンドセミナー
「札幌の歴史探検 歴史新聞をつくろう」はテーマが多岐にわたり、知識だけでなく発想や
表現力、伝達力が養われる良い取り組みと思いました。大人には、どんな分野・テーマが
求められているのでしょうか、気になりました。 

【筆者検索】  2 公文書館の機能(評価選別) 2-1評価選別とは
http://www.city.sapporo.jp/somu/kobunsyokan/2-siryo/siryo5.pdf

「神奈川県の公文書館制度における中間保管庫の機能」 石原一則 (同県立公文書館)
http://www.cas.go.jp/jp/seisaku/koubun/dai5/siryou7.pdf

歴史的公文書に関する全国調査 (公文書館設置済み)
http://www.pref.shiga.jp/b/kemmin-j/rekisiteki-bunsho/tyousa-setti191106.pdf

# by livres6 | 2010-09-07 21:21 | 学び (課程関連)  

札幌市立図書館開設60周年 

1950年5月11日、時計台に開設された「市立札幌図書館」 は、 改称と移転を経て
現在地の 「札幌市中央図書館」 に至りました。 この間、区民センター図書室や
地区図書館がオープン、05年には 「札幌市子どもの読書活動推進計画」 が策定
されています。 昨夜、60周年記念セレモニー (時計台2Fホール) に出席しました。

式辞、祝辞の後、 「拡大写本グループ かわずの会」 「国際ソロプチミスト札幌中央」
「札幌Ⅰゾンタクラブ」 に感謝状贈呈、ピアノ演奏 (伊藤朋子さん) に移りました。
バッハ、ショパンと続く曲の合間に、丁度19時の鐘が鳴りわたり、 「時計台の鐘」 の
演奏で閉会、 NPO法人 羽原コレクション製の記念しおりも頂きました。

中央図書館では、5月30日まで 『市立図書館のあゆみ展』 が開催されています。

# by livres6 | 2010-05-12 13:05 | ニュース、講演会等 etc  

書籍 『モバイルコミュニケーション 携帯電話の会話分析』

山崎敬一/著、大修館書店、2006/04。 藤女子大図書館に新着、4/10 部分読み
著者は埼玉大学教養学部教授、ご専門はエスノメソドロジー (ethnomethodology*
会話分析、相互行為分析、CSCW(computer supported cooperative work)
* 本書によると ethno = 人々の  methodology = 方法論 の造語だそうです。
序章:モバイルの課題、 第1章:電話の文化史、 最終の第11章:モバイルの未来

時間がなかったので、序章と第10章 リモートインストラクション (遠隔作業指示) を
読みました。 「心肺蘇生の遠隔実験」 を目的に、床に横たわった人形に対して、そばの
人が携帯電話で救急救命指示を受けるという場面設定です。携帯電話のカメラ画像や
メール機能は使わないそうです。

例えば、 「倒れている人のどちら側にいるか」 を聞かれた人が、向きを変えたり、
質問の言葉が微妙に異なると、同じ側にいる2人の答えが左右違っているなど
興味深い事例が紹介されています。主となる視点をどこにするかで、位置関係の
判断が変わるのですね。 そして 「携帯電話は身体の一部を束縛して作業を困難に
する可能性がある
(引用)」 と気づかされました。確かに指示によっては携帯電話を
持ち変えたり、片手がふさがれたりします。自由であることの不自由さ。示唆的です。

私は数年前にプリペイド携帯電話を短期間使っただけですが、家にコードレス電話も
あり、いざというときの参考にしたいと思いました。ところが左右の認知で躓きそう。

もし携帯電話に、相手の声をラジオのように聞いて応答できる機能があれば、
スイッチを切り替えることで困難は解決するでしょうか。便利かもしれないです。
しかし運転時は注意が阻害されるのではと危惧します。 改正道路交通法では、
ハンズフリーキットを利用した通話などは認められているそうですが ..
人間だから他者と自分の関係 (方角) を迷うのでしょうか。 ロボットなら?    
また別の章を読んで見ます。

詳細は → エスノメソドロジー・会話分析研究会 公式サイト http://emca.jp/
> もっと学びたいひとのための情報 : EMCA文献リスト > 最近出版された研究会
会員の著作紹介   http://emca.jp/books_2006mobile.php

# by livres6 | 2010-04-14 14:43 | ささやき ...  

藤女子大学の新着図書コーナーにて

この冬、見かけた中で、特に興味を持った書籍を少々

ヒポクラテス全集 全3巻』 大槻真一郎/編集・翻訳責任、エンタプライズ、1985-88
88,000円、人間もその他の動物も、その体は三種類の栄養で養われている。食物、
飲料、空気
(同書より) 学生の質問がきっかけで購入されたそうです。
心の栄養は何だろう。 対応させて考えた。

食物 … 興味を持って吸収する行為、その対象(情報)。 選んだり、加工
飲料 … 休息、心を憩わせる、 内省、 癒し、(水は)浄化
空気 … 交流、コミュニケーション、受信・発信

心、体、それぞれを養うものが安全であるとは限らない。汚染や棘、毒、異物混入
一見分からない場合があるだろう。異臭が強くなり危険を察知する。風は何を運ぶ、
空気は花の香、吐息、音、気配を伝える、おいしそうな匂い、楽しげなざわめき


松本清張 時代の闇を見つめた作家』 権田萬治/著、文芸春秋、2005、1,524円

みんぱく実践人類学シリーズ9 自然災害と復興支援』 明石書店、2010
林勲男/著 (国立民族学博物館 准教授)、7,560円  インド洋地震・津波災害後、
同書によると、地域研究者や文化人類学者が参加した画期的な緊急調査
通常は理工学者が中心らしい。

追記 :
アーミッシュの人びと  「充足」 と 「簡素」 の文化』 二宮社、2009.12
池田智/著 (玉川大学文学部大学院文学研究科・国際言語文化学科 教授)
Gelassenheit (独) 冷静。落ち着き、泰然自若 (本書より)  04/15

# by livres6 | 2010-03-29 22:32 | ささやき ...